髙木チーズができるまで。濃厚でクリーミーなチーズケーキの秘密

髙木チーズができるまで。濃厚でクリーミーなチーズケーキの秘密

アントレの代表商品といえば「髙木チーズ」。濃厚でクリーミーなコク、なめらかでしっとりした口当たり、豊かな風味。
船橋市認定の「ふなばしブレンドセレクション」認定商品され、地元の人の方々に愛されてきました。
アントレマガジンでは試行錯誤の末たどり着いた「髙木チーズ」の開発秘話をお届けします。

フランスでの修行時代の経験をもとに発案。

製菓専門学校を卒業後、髙木シェフはフランスへ渡仏。フランスでは料理人やパティシエにとって最高の栄誉といえるM.O.F.(フランス国家最優秀職人章)を持つシェフの元で修行をされたそう。
そのシェフが使用していたのが、フランスではもちろん今では日本でもポピュラーなクリームズのKIRIだった。こんなにチーズ大国のフランスでどこのスーパーにでも売っているKIRIチーズを使用していることへも、そのチーズで作ったお菓子への味わいにも驚きを覚え、日本に帰国後にフランスでの修行を生かして商品を作りたいと考えていた時に、KIRIチーズを使った商品を作ろうと思い立った。

 

自分だけのオリジナリティ。追求したのは濃厚さと口どけ。

その時代はチーズケーキブーム。たくさんの洋菓子店が様々な個性を持つチーズケーキが展開されていた。
髙木シェフは一時のブームではなく、ずっとお店の看板として出せるようなオリジナリティがあるチーズケーキを作りたいと試作を開始。
とにかくチーズをたっぷりと使用し濃厚さを、かつ口どけの良さを両立させる方法を考え、試作を繰り返す。
自分で納得の行く味を作り出すまでに、なんと2年の歳月を費やした。

焼き加減の調整、オリジナルセルクルに辿り着くまで。

チーズケーキに最も重要な焼き加減、それは味わい、風味、口どけも左右する。そして美しい見た目も重要。
最初は丸いセルクル(型)からはじめ、1個2個だと上手くいっても大量な商品を作り、いつでも変わらぬ美味しい商品を目指すと納得いくものでは無かった、何個もセルクルを購入し、何度もチーズケーキを焼く日々。
美味しくはできていてもどうしても真ん中の焼き具合に納得がいかず、最終的にはセルクルを手でを押して変形させたのが今の高木チーズの形となった。
金型屋さんにオリジナルセルクルを発注、高さ横幅などを指定して、ここにしかない「高木チーズ」の形が出来上がった。

自分の名前を商品名にする覚悟のきっかけ、師と仰ぐ方の言葉。

渾身のスフレチーズに「髙木チーズ」という名前をつけるところを悩んでいた時、髙木シェフのお父様のご友人の兵庫県西宮市の銘店「ケーキハウスツマガリ」の津曲社長から「自信のあるお菓子なら自分の名前を付けたらいいやないか」というお言葉をいただいた。今ではシェフの名前がついているお菓子は見かけるが、当時はあまり見かけなかった。
津曲社長には、新作のお菓子を試食していただいてご意見をいただいたり、厨房との向き合い方などを教えていただいたりと、お菓子作りの師、もしくはもう一人の父のような特別な心の繋がりがある方と感じていたこともあり、この言葉はパティシエとしての覚悟のきっかけとなった。
髙木シェフは今の自分の在り方やお菓子作りへ向き合う姿勢を確立するような教えを津曲社長から沢山いただいた。と今もなお、その背中を見続けている。
そうして、「髙木チーズ」をはじめ、髙木シリーズができあがった。

日々、商品と向き合い改良。地元食材と出会う。

渾身の「髙木チーズ」が出来上がったあとも、髙木シェフは常に商品を改良。
やはりフランスにいたときに、刺激を受けた地元食材を使用することにも果敢に挑んだ。自分の足で動き、生産者とのパイプを繋いでいった。
仕入れをすることが出来ても、簡単に地元食材と今のレシピが合うことはなく、配合比率などを調整して素材にあわせ、黄金比率を見つけるまで何度も試作を繰り返す。
その努力の理由は、地元食材を使用することで生産者の顔が見え、その生産に対する想いも伝わりやすくなる。そんな直接コミニケーションをとり、想いを伝えてもらうことで、こちらにも気持ちが入る。その気持ちはお菓子作りにはとても大事だ。と髙木シェフは言う。

食べた人に幸せになってもらうこと、それが探求を続ける意味

どうしたらこの素材が生きるか、どうしたらもっと美味しくなるか?その探求を続ける髙木シェフ。
そうやってお菓子に向き合えるのは、食べた人の笑顔があるからこそ。
食べた人が喜んでくれて、また2度、3度とお店に足を運んでくれること、それが菓子作りをする醍醐味にもなり、ワクワクにつながり、長く続けられる秘訣にもなる。
アントレのお菓子を食べて幸せになってもらうこと、そのために髙木シェフは日々厨房に立ち伝統を重んじながらも新しいお菓子を作り続ける。

 

取材・文:北田綾

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